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特定非営利活動法人にじのこより、お知らせです。


by niji-noko
(前回の研修振り返りは上の記事を見てください。)

次に取り上げた「芝の家・音あそび実験室」では、
コヒロコタロウ(小日山拓也+三宅博子+石橋鼓太郎)のみなさんにお話をお聞きしました。

「居場所」について考える:研修振り返り②ー芝の家・音あそび実験室の活動からー_c0186983_02145629.jpg

美術・即興音楽、音楽療法、アートマネジメントといった個々の背景はあるが、
「だじゃれ音楽研究会」のメンバーでもあるなど、
多様な人と音楽をつくることにそれぞれ関心を持っていたコヒロコタロウのみなさん。

三宅さんが芝の家の近くで仕事をしていて、たまたま受講した講座の一環で、
芝の家に関わる中で、小日山さんとお祭りに音あそびの屋台を出したことがきっかけとなり、
芝の家・音あそび実験室として定期的な活動につながっていったそうです。

最初は、試行錯誤の連続で、
興味を持ってもらおうと、意図的に子どもたちに合わせた内容にしたこともあったが、
活動の中で、「参加の仕方」そのものについて考えるようになったこと。

離れた所にいて気にしていないように見える人が、
ふと活動について話してくるなど、まずその場にいることが「参加」になるし、
時には重要な要素になっているということに気付いたそうです。

内容についても、即興音楽をベースにはするが、
楽譜を使うことも、既存の音楽を使うことも否定せず、間口を広げており、
ファシリテーションの中では、引っ張る人がいれば意図的に崩すなど、
それぞれが役割を分担しながら、場をつくっていけるようになってきたこと。

「ここでしかできない音楽がある」といって参加する常連の方も出てきたが、
音あそび実験室の存在が芝の家を訪れる人に徐々に認知されてくる中で、
接点の少なかった人からも話し掛けられるようになり、
吹奏楽のプログラムなど、新たな交流が生まれていきました。

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後半では、芝の家10周年の際に生まれたバースデイソング『いついつまでも芝の家』の
2番の歌詞づくりの制作過程を主に紹介しました。

いいものをつくるために限られた時間の中ではあるけど妥協せず、
皆で歌をつくろうという姿勢が歌詞づくりのプロセスから垣間見られ、
自分たちの「居場所」について考えていく姿勢が見られました。

音あそび実験室のみなさんも、実際にファシリテーションを行う中で、
芝の家という「場の力」を感じた出来事だったそうです。

当たり前のことかもしれませんが、その場所への思いがあるということが、
「居場所」をつくるということにつながっているのかもしれません。

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職員のみなさんからの感想を紹介します。
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・「芝の家・音あそび実験室」の活動では、評価というものを解き放つことの豊かさを感じました。提案はしても押し付けないというゆるやかさは難しいと思います。その模索に学ぶことが多くありました。

・参加を緩めるという点にも共感し、音楽に関わらず、福祉全体に共通する点だと考えたので、自分もよい意味で巻き込んでいきたいです。

・音あそび実験室では、素直に自分の考えや思ったことをしゃべっていい! その人が安心して発言できる雰囲気、場であることが大切、発想やものの見方を柔軟に考え、広げていく姿勢が大切、ということが印象に残りました。

・音楽というものの幅の広さを改めて感じました。地域に根差し、自然に生まれる音楽を心から楽しんでいる方々の表情が印象に残りました。

・芝の家の歌詞をつくる場面がおもしろかった。リアルな生活の場での意見がどんどん出て、最終的にみんなが納得できる歌に仕上がった。どんどん意見が言える場所があるということ、みなさんの感性、それを引き出せるファシリテーターの役目が素晴らしかった。

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・「音楽」の形や枠にとらわれることなく、そこにある音、いつもあるものが音になり、心が解放されていく。本来人は音、音楽が好きな生き物だと思うのですが、形や奏で方などに押しつぶされてしまい、遠のいてしまうことがあるなあと、改めて感じました。

・音楽活動の場に行かないとできない、ということに共感しました。私も音楽をやっていたので、上手・下手に関わらず、みんなで音を楽しむという所が原点だと思うので、興味がある・ないではなく、その場を楽しめることを、音楽療法として広まるといいなと感じました。

・ただ居場所を提供するだけでなく、利用者が何をしたいかを考え、利用者側に立ち考え、寄り添いながら前に進んでいることがとても印象に残った。

・自分の枠からはみ出して見えるような人と、自分の枠内のことを違う角度から見る、というお話が印象的で、何となく関わっている人の存在を認め、「個」を大切に活動されているからこそ、自然と自分が出せる場になっていると思いました。

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デイサービスの活動で考えると、離れたところに座って活動に参加していないようでも、
実はよく見ていて、身体を揺らしていたり、数か月後に急に踊り出すこともあったりするので、
その場だけで「参加していない」とみなさず、長い目で見ていく姿勢が大切ではないかと思いました。

感想に対する、芝の家・音あそび実験室の三宅さんからのコメントを掲載します。
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にじのこのみなさま

オンライン研修では、「芝の家・音あそび実験室」の活動をご覧くださり、ありがとうございました。たくさんの感想をいただき、とてもうれしく思っています。みなさまの言葉から、にじのこでの日々の生活や支援と照らし合わせて様々なことを感じてくださったことが伝わってきました。

私は、にじのこ赤堤に、音楽療法セッションで月1回おじゃましています。4月に新しいメンバーを迎えて少しソワソワザワザワした雰囲気だったのが、数か月たつと落ち着いて、にじのこの空気感ができてくるのを毎年感じています。通ってくるメンバーにとって、にじのこという場がだんだんと居場所になっていくのだと思います。そう考えてみると、居場所というのはたんに場所があることではなくて、そこに集う人々どうしの関わりから、お互いのあいだに生まれてくるものなのではないでしょうか。にじのこ職員の方の関わりを見ていると、一対一の関わりのなかにも、小さな「居場所」があるように思います。にじのこでの音楽療法セッションはいつも、そのような関わりや居場所の空気感に支えられていて、いつも私が学ばせていただいています。

音楽療法セッションでも音あそび実験室でも、いつも試行錯誤の連続です。みなさまの日々の支援も、きっとそうなのではないかと思います。その意味では、私たちはそれぞれの立場から「人と関わって何かをする」という、同じことに取り組んでいると思っています。これからも、にじのこという居場所作りに一緒に関わらせていただけたらうれしいです。ありがとうございました。(三宅)


コメントの中にあった、デイサービスにじのこ赤堤の音楽療法については、
以前三宅さんにインタビューした記事がにじのこブログに掲載されています。

なお、感想の中で、「障害のある方がいなかったのではないか」と書かれていた方がいましたが、
参加はしていても特別に存在を強調しようという意図が企画者になかったことや、
過去の素材は企画者の都合がつく日に撮影が限られていたこともあり、
偏った印象を与えてしまっていたら申し訳ありませんでした。

芝の家・音あそび実験室の活動に関しては、
ホームページやfacebookなども参照していただけるとうれしいです。

音あそび実験室が開催されている「芝の家」では、
昨年の11月に「芝の家13周年いろはにほへっと芝まつり」が開催されました。

コロナウイルスの感染状況が落ち着いていた時期ということもあってか、
整備されてきた「芝のはらっぱ」がにぎわっており、
にじのこバザーにも来ていただいた「千住ちんどん」のみなさんの演奏が
場を盛り上げていました。

そして、おまつりの最後に、
芝の家のバースデイソング『いついつまでも芝の家』が歌われていました。

コロナ禍を経ながらも、芝の家という場所に
変わりなく温かい時間が流れていることを実感した機会となりました。

当日の様子に関しては、
芝の家のブログの記事を見ていただけたらと思います。

今回の研修の内容は、にじのこの活動にもつながっていて、
先日、給田の活動の様子をこのブログでお伝えした際に、
「にじのこ9でん(給田)音頭」をつくったと書きましたが、
これは音あそび実験室とだじゃれ音楽研究会の活動が影響していました。

書くということに関心があって次々とアイデアを出していた子、
「難しい」と言いながらも、次第に歌いながら自分で歌詞をまとめあげ、
振り付けまで提案する姿が見られた子など、
思いも寄らない子どもたちの姿を引き出すことができました。

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その後も、子どもたちのにじのこへの思いが伝わってくる曲が生まれており、
にじのこの居場所づくりにつながっています。
今後何かしらの方法で公開できる機会がないか、可能性を探っているところです。

(研修振り返りの続きは、上の記事を見てください。)

# by niji-noko | 2022-02-15 15:05 | にじのこ研修会
にじのこでは毎年定期的に内部研修を実施しており、
2021年度は11月には虐待防止、2月には個人情報保護に関して、
オンラインで研修を実施しました。

昨年度の終わり頃に、「『居場所』について考える」という研修を行ったのですが、
その振り返りをするとお伝えしながら、すっかり遅くなってしまい申し訳ありません。
研修に至る経緯や概要に関しては、上の記事を参照していただければと思いますが、
記事を3回に分けて、研修の振り返りをしていきたいと思います。

最初に取り上げた「アトリエ・ポレポレ」では、
代表のサイモン順子さんにお話をお聞きしました。

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知人の方から話を聞いたことがきっかけで訪れた
西多摩にある施設で障害のある方に会った時に衝撃を受け、
「こういう人たちと付き合っていきたいと思った」というサイモンさん。

結果的に美術を「教える」という立場で関わることになったが、
参加者の方の姿を見ていると、実際は「教わる」ことばかりで、
その方自身が自分を表現できるような環境を整えるということに意識が向いたそうです。

紆余曲折がありつつも、展覧会などを行う中で生まれた出会いが縁となって、
1995年のアトリエ・ポレポレの立ち上げにつながっていきました。

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ポレポレは絵を描きたいという方なら、誰でも参加できる場所。
有給を取得して通う社会人の方や就学前のお子さん、大学生なども含め、
様々な方が通ってきました。

ただ、活動を始めるきっかけとなった障害のある方のことを想像したときに、
中には身辺処理など、プライベートな部分でも常に他者の目にさらされる場合もあり、
本当に自分を出せる時間は、ごくわずかしかないのではないか。

だからこそ、ポレポレの時間だけは、「あなたでいて」という思いがあること。
人を傷つけない、といった最小限のルールはあるが、
それでなければ、このポレポレという場では何をしてもよいし
少しでも自分を開放できる時間があるということが大切ではないか、という話がありました。

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サイモンさんは「雑草の美しさ」という言葉を用いていましたが、
展覧会などでポレポレの作品を見ていただけると、評価どうこうは関係なく、
ひとりひとりの作品がばらばらで、個性の違いがよく表れています。

ポレポレが「自分が自分でいる」ことを保障されている場所、
その人の個性を安心して発揮できる場所になっているからこそ、
そのことが作品として現れているのではないかと、
サイモンさんのお話を聞く中で改めて考えました。

メンバー同士は、一緒にいるときには気にかけていないようだけど、
いないときには相手のことを言葉にして気にかけ、
作品の中にそんな面が表れることもあります。

他者から尊重されているという空気が流れているということも、
居心地のよい空間のひとつの要素なのかもしれません。

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職員のみなさんからの感想の一部を紹介します。
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・アトリエ・ポレポレの活動で印象に残ったことは、みんなが自然に集まる場所、自分らしく自分を表現する場所ということです。本当の自分を出せる場、居場所がある、落ち着くことのできる場所があるという安心感。この安心感は、とても大切で必要なものだと思いました。

・好きなことややりたいことがあると、自分の力を出せたり、自分を好きになることができたり、幸せを感じられることが多いけれど、信頼できる大好きな人や仲間がいて、安心できる場所があることで相乗効果が起こり、本当に身体の外に表現したいものが出せたり、本来持っている力を引き出せ、その場に居合わせることができた人たちは、きっと言葉がなくても同じような気持ちを共有することができるのだろうな、と感じました。

・成果物を評価するだけではなく、描き方、作品への取り組み方を寄り添いながら理解し、認める、素晴らしい活動だと思った。

・形にはまらない所が印象に残りました。アトリエでは個性を大事にしていて、対象者だけでなく、保護者の方も笑顔があふれていてよかったです。

・アトリエ・ポレポレの代表の方が、「ここには正解がない」と話していました。本当に、「〇〇しなきゃいけない」ではなく、ひとりひとりを認め、自由な表現の中にも、人々のつながりが感じられました。何より、ひとりひとりの笑顔が素敵でした。

・「失敗はない」という言葉が印象に残りました。自分でどう表現するか、どうとらえるかにより、成功も失敗もないのだなと感じ、○か×かで考えすぎてしまうのもよくないし、人に押し付けて考えるのもよくないと考えました。

・公共のルールを守ることや、身体を安全に保つことは前提だが、私自身のものさしが片寄っていないのか、疑い続ける。わかったつもりにならないように気を付けたい。

・その場にいる人(関わる人)が、どんな形でも心地よく、それぞれの心の癒しになること、安心して自分をさらけ出したり夢中で何かに打ち込める環境や空間づくりがとても大切であると感じた。

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・個性豊かに自分の心の中を作品を通して表現する、ポレポレの利用者さんの表情が素敵でした。クレヨン、サインペン、絵の具、はさみ等、画材はたくさんあるけれど、その中で迷いも下書きもなく、自分を表現できる姿が本当に素敵で、うらやましくも感じました。そして、自分を表現していい、そのままの自分でいいと思える居場所を支えているサイモンさんの心に感銘を受けました。

・こうしよう、あれしようと「力」を入れずに、ありのままを認めたいと思いました。自分も他の方々も皆、それぞれ個を大切にしながら。

・自分の気持ちをぶつけられる場、また来たいなという気持ちになれる、お互いが違うということを認め合えるような場をつくっていけるように、迷っていたり、困っていたりしてる時に声掛けをして、その気持ちが引き出せるように寄り添うことができたら、と思いました。

・子どもたちの活動についアドバイスをしてしまうことがあるが、そっと見守りながら自由にやらせてみること。その理由は、口を出されることは人によって、否定されたと捉えてしまい、ありのままの自分を表現することができなくなってしまうかもしれない。やはり居場所は、自分が出せる、認めてもらえる場所であることが大切なので、ひとりひとりが自由に表現できるようにサポートしたいと思う。

・以前のにじのこはポレポレに近い雰囲気だったと思うが、支援計画がはっきりと打ち出されてからは、もちろんよい面もあるが、枠組みがはっきりしてきたことで、「その境界を楽しむ」という余裕が少なくなったような気がした。自分で成長できる力を信じて、のびのびと過ごし、自己決定しながら、持ち味を発揮できる場を提供していきたい。

・サイモンさんを始め、ポレポレのスタッフの方々が楽しそうだったこと。寄り添い、時にフォローし一緒に楽しんでいるように感じました。つい忘れがちになる、最初ににじのこに関わりたいと感じた時の気持ちを持ち続けたいと思いました。私も子どもたちの言葉ではない声を受け止められるように、関わっていきたいと思いました。

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職員のみなさんから出た多様な感想に対する、サイモンさんからのコメントを掲載します。
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にじのこでの内部研修に関わることが出来たこと、又、参加して下さった方々からの貴重なコメント、心から感謝いたします。

誰にでも、お気に入りの場所があると思います。逆にどうもしっくりしない、落ち着かない場というものも。人が集まれば何らかの雰囲気が出来ます。しかも集まる理由によって、自ずから違ってきます。

アトリエ・ポレポレは、一応絵を描きに集まっているのですが‐‐‐私は一切、指導らしきことはしていません。テーブル、椅子、画材等が整う頃、ボチボチとメンバーが入って来る。持参したCDをかける。クラシック、ジャズ、演歌、アニメの主題歌等はなしで、民族音楽、いわゆるエスニックなものか、ロック等。ポレポレが東中野で開かれていた時は、「何、これ?!」‐‐‐アフリカのドラムや地を踏むリズムに、筆に絵具をたっぷり付け、踊るように絵にして行く人が何人もいた。しかしここ数年、古参のメンバーHさんが音響係‐‐‐彼の選曲によるクリスタルキング、もんたよしのり、中山ラビ、たまにはクイーンばかりが部屋のBGMになっている。「いつもこれ~?」とクレームが来たこともあるが‐‐‐今は私がCDを持って来るのを忘れると「えっ、だめだよ」。

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音楽、自然の音も含めて、居場所づくりに不思議な役割をしている。十年以上前のことだったと思うが、世田谷にある中高年層の男性の施設での絵を描くワークショップを頼まれました。いわゆる路上生活者だった人が多く、アルコール中毒や刑期を終えても行き場のない人等々、当日10数人の人が部屋で待っていてくれましたが、絵を描くという雰囲気はどこにもありません。後で話してくれたのですが、作業で受け取る工賃+上乗せがもらえるというので来たということだったのです。なんとも異様な雰囲気、絵を描いてくれるのだろうか。前日、もしかすると、と袋に入れた一枚のCDを少しずつ、音量を上げながらかけました。なんとなくやわらかな空気が流れ始め、画板の画用紙の上を鉛筆、色鉛筆、クレヨンが‐‐‐戸惑いながらも動いているのです。私は無言で、ただ歩きまわりました。「うまくねえな」とか、「田舎ってこんなだったかな」とか‐‐‐10分前までの表情とはまるで変わっていました。その切っ掛けは、ウォン・ウィンツァンによるピアノ「童謡」(曲集Vol.1)だったのです。

長くなりましたが、今回特にヘルパーさん達のコメントがとてもうれしかったです。ポレポレにも、車椅子のメンバーがヘルパーさんと来る人が、4、5人います。出入り自由なので、一律には言えないのですが、体調により30分ほどで帰る人、たっぷり4時間以上がんばる人、様々です。ヘルパーさんも様々で、最近は皆さん、メンバーの横に座を取り、身支度や一部の人の食事の世話、そして画材の調達(これが大変! 意思疎通の難しい人にはテーブルに色々な色のチューブを並べ選んでもらう)、そして気長にやさしく筆を持つよう誘導する。又、Yさんは聴き取りにくいのですが、しっかりと自分の意見を言い、ほかのメンバーとの会話や私とも冗談を言い合うのです。そのYさんは、私に大切なことを気付かせてくれました。それは、彼とヘルパーさんとの会話です。自分よりはるかに年下だろうヘルパーさんに、決して粗末な言葉遣いをしないということです。Yさんのヘルパーさんだけでなく、皆さんと打ち解けて、一緒に楽しんでいるように見えるのですが、私の思い違いでしょうか。

にじのこの皆さん、ぜひポレポレにいらして下さい。私もそちらに伺いたいと心から思います。もちろん、例のモノが終息したらのことになるでしょうが‐‐‐。 

サイモン順子

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ポレポレは一時期お休みをしましたが、
感染対策を取りながらできる限り休まずに活動しています。
コロナ禍になってから参加する機会が増えた人もおり、
近所に住んでいる子が急に来るということもありました。

グループホームなどに住まわれている方の中には、
感染予防で休日の活動に制限が出る場合もあるようですが、
「落ち着いたら来たい」という声が届いています。

仮に久しぶりだったとしても、何事もなかったかのように安心して絵を描くことができ、
何事もなかったかのように帰って行けるような場所。
それがアトリエ・ポレポレです。
活動に関しては、ブログも参照していただけるとうれしいです。

研修が終わってしばらくした頃に、
サイモンさんから山形で開催された展覧会の記録集を見せていただいたのですが、
その中にサイモンさんがこんな言葉を寄せていました。

 寄り添う、簡単なようで、なかなか歩調を合わせること、呼吸を合わせることは難しい。
 やまがたアートサポートセンターら・ら・ら『きざしとまなざし 2018-2020』(やまがたアートサポートセンターら・ら・ら, 2021, p.12)

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ホームページには、キャッチフレーズとして、
「共によりそい、歩いて行きたい」と掲げているにじのこ。

サイモンさんの言葉を噛みしめつつ、
今回の研修の内容を思い返しながら、日々の支援に臨んでいきたいと思います。

(研修振り返りの続きは上の記事を見てください。)

# by niji-noko | 2022-02-15 15:01 | にじのこ研修会

大切なものを届ける存在

夏休みが終わった直後にブログを更新しようと思っていたのですが、
もうすっかり秋になってしまいましたね。
更新が遅くなってしまい、大変申し訳ありませんでした。

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「にじのこ商店街」でも、秋の装いに衣替えをしたところですが、
この機会に、少し前の様子を振り返ってみたいと思います。

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夏休みの時期は、感染者数の急増もあり、
どのような対応をしたらよいか悩んだ面もありましたが、
恒例の水あそびは、毎回消毒をして水を入れ替えながら、
個別のプールで時間を限定して行いました。

短い時間で物足りないかな……と心配したのですが、
笑顔で参加していた子どもたちの姿が目に焼き付いています。

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冒頭で紹介した「にじのこ商店街」の活動は、
昨年の夏休みの「にじのこ本屋さん」から1年を迎え、さらなる展開を見せています。

プログラムリーダーのみなさんが、
大きな枠組みで「にじのこ商店街」の活動につながるように、
様々なプログラムを考案しています。

こちらのソフトクリーム屋さんは、幼児グループの活動から派生したものですが、
手先の使い方を学ぶと同時に、自分の順番を守るなど、
集団の活動の中に、個別の課題を組み合わせながら活動を進めています。

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片付けが苦手なお子さんもいますが、
お店屋さんごっこをした後には、片付けを積極的に手伝う様子が見られました。

先日、ソーシャルスキルトレーニングに関するアンケートがあったのですが、
「療育」と堅苦しく言わなくても、挨拶をする・お礼を伝える・報告をするなど、
遊びの中でソーシャルスキルにつながる要素を組み込みながら支援できるように努めています。

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宅配ゲームでは、多くの人が役割を持てるように、
最後に決済印を押す「社長」という役を設定したところ、
印鑑を押すというのが特別感(?)があるようで、人気になっています。

活動の際には、にじのこにも「理事長」という役職があることを伝えているのですが、
今後を担う頼もしい人材は確実に育っているようですね。

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緊急事態宣言中で外出やイベントが難しい中で、夏休みの終わり頃には、
金魚すくいやゲームコーナーなど、これまでの活動を組み合わせ、
にじのこ商店街の「夏祭り」と称した活動を行いました。

子どもたちが歌詞を考えた、『にじのこ給田音頭』を最後に踊って、
夏休みの活動を締めくくりましたが、歌詞の中に、

 せまいばしょでも たのしいよ
 ともだちと いっしょだからね

というフレーズが思いがけず登場し、制約のある中でも、
子どもたちがにじのこでの時間を楽しみにしていることが伝わってきて、
はっとさせられた場面でした。

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さて、ホームページには定期的に「にじのこだより」を更新しているのですが、
赤堤では「サルバトーレにじ」というイタリアンレストランを開店したそうです。
にじのこ商店街の活動は、給田からどんどん広がっているようですね。
宅配はやっているのかな……?

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コロナ禍の夏休みの中では、難しかったこと・大変だったことなど多々ありましたが、
子どもたちや職員のみなさんから届けられたアイディアや何気ない言葉・振る舞いが
発想の転換をもたらし、充実した時間を過ごすことにつながったような気がしました。
ありがとうございました。

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活動の振り返りにつながればと、
毎年夏休みの終わり頃に、活動の様子をまとめたスライドを上映会で流していますが、
今年度のBGMには、以前来られたボランティアの方の曲を使わせていただきました。

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上の画像はコロナ禍の前にも掲載したものですが、
先日、大きな会場で行われた配信ライブを個人的に視聴した際に、
笑顔で堂々と弾き語りを披露されている姿を目にして、
にじのこに来た初日の緊張した様子を思い出しながら、とてもうれしく思いましたし、
活動を続けることの大切さについても考えさせられた機会でした。

スライドを上映すると、その後も、
「にじのこの写真見たい!」と何度か言っていたお子さんがいましたし、
夏休みの様子を振り返ると同時に、
歌声を聞くことでリラックスできる機会にもなったようです。

なかなか外部の方との交流が難しい状況ではありますが、
対面でのかかわりということでなくても、
間接的な形でにじのこを支える人材を増やせるように、
新たな交流の方法も考えていけたらな……と思いました。

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また、にじのこでは、職員という形で活動を支えていただける方を
引き続き募集しています。

職員募集の詳細はこちら

# by niji-noko | 2021-10-29 13:02 | デイサービスにじのこ給田

とっておきの隠し味

最近の給田では、楽器演奏をよく行っています。
時々ギターも活用しているのですが、
たたきつけるように弾く子、繊細な音色を奏でる子など、それぞれの個性が現れています。

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中には、オリジナルソングを弾き語る子も登場!
以前は理事長も出演していたそうなのですが、
ライブハウスで弾き語りをするミュージシャンの姿と重なりました。

コロナ禍になってからは見合わせているのですが、
以前は休みの日にライブハウスに行くことが時々ありました。
業務のことを忘れたくて行っているのですが、なかなかそうはならないですね。

以前、「バロンと世界一周楽団」というバンドのライブを見た時に、
演奏のスタイルもそうですが、
曲の間のMCやパフォーマンスなどにも飽きさせないような工夫があって、
これはにじのこの活動にも通じるな……と考えさせられたことがありました。

何回か通うと、自然と曲も覚えてくるものですが、
その中で、毎回気になっていた曲があり、
バンドのメンバーの方が職員の友人である経緯もあって、
エアロビの時間に活用させてもらうことにしました。

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「これから塩をかけます」と伝え、"Krazy Salt"という曲を紹介したところ。
最初はきょとんとしながら歩いていた子どもたちがだんだん乗ってきて、
「パッパラー」と手を大きく動かすたびに、にこにこする様子が見られ、
ライブの雰囲気と重なってきました。

その日以来、「パッパラー、やるの?」と聞かれることがあり、
中には「しお!」と言ってリクエストしてくる子もいます。

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ある日には、曲の終わりになると、サラダの上に
魔法の塩(に見立てた紙吹雪)をかけてもらいました。
岩塩も混ぜたつもりでしたが、香草がかなり多めですね。

かけるときには、ルールを守ってまわりにこぼさないように配慮する様子が見られましたが、
さすがにこれは、ちょっと……かけ過ぎ……かな?
でも、満足そうな表情をしていますね。

たまたまモニタリングのため来られていた相談支援専門員の方が、
この光景を見て、「私、パッパラー、気に入りました!」という言葉を残されていました。

曲名でなく、「パッパラー」で定着してしまって、バンドのみなさんには申し訳ありませんが、
にじのこの中では、ファンが確実に増えているようです。

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先ほど味付けしたサラダをお皿に盛りつけて、
「にじのこイーツ」のメニューに、新たな一品が加わりましたよ。

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後日、恒例の「にじのこ新聞」の記事の中で、
「だんすをしてます パッパラー」と書いてあるのを目にしました。

本人は活動の中でそっけない面もあったのですが、
実は楽しい思い出が残っていたんだな……と知って、思わず微笑んでしまいました。

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最近は、療育や感染対策、費用対効果など、
いろいろなことに目一杯になるうちに、余裕がなくなってしまいがちですが、
今回のことで改めて思ったのは、
色々なことにアンテナを広げることが、物事を考える上で大切だということ。

現在は「断捨離」がブームになっていて、
物事にはパパッと整理が必要な面も当然ありますが、
支援には関係ないとただ切り捨てるのでなく、
関係ないと思えるものの中に、実はとっておきのお宝が隠されているかもしれない……
そんな視点も忘れないようにしたいですね。

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ちなみに、バンドのみなさんはこちらの職員の友人なのですが、
「パッパラー」の味に刺激を受けたようで、活動の中でいろいろな工夫をしていますよ。
いつもありがとうございます!

コロナウイルスの状況が落ち着いたら、
バンドのみなさんの生演奏で、子どもたちと一緒に「パッパラー」とできないか、
こちらの職員につないでもらえたらな……と思っています。


さて、デイサービスにじのこでは、引き続き職員を募集しております。
ご興味のある方は、ご応募をお待ちしています!

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# by niji-noko | 2021-06-14 14:40 | デイサービスにじのこ給田

今週のにじのこ手帳26

# by niji-noko | 2021-05-29 18:18 | 相談室にじのこ