すっかり涼しくなってしまったので、夏休みに個別のプールで水遊びをしたのが、
かなり昔の出来事に感じられるようになりました。
給田の子どもたちは、自由時間にそれぞれ好きなことをして遊んでいますが、
その中のひとつに、トランプやかるたなどのカードゲームがあります。
コロナ禍の前には、百人一首ブームが到来していた頃もありました。
カードを並べて楽しむ子、クイズを出題する子、
2つのカードを提示して「どっちが好き?」と尋ねる子など、色々な遊び方が見られます。
カードゲームを通して、順番を守るなど、ルールを学ぶことができるかもしれません。
しばらく前になりますが、あるお子さんが職員と一緒に、
自主的に「にじのこかるた」の制作を始めました。
「『あ』の札からつくろう!」ということで、
そのときに最初に生まれた札が、「あしがかゆい」だったとのこと。
途中からは好きな食べ物の札ばかりになってしまって、
「〇〇さんかるた」としてはおもしろい内容ですが、
「にじのこかるた」としてはなかなか進展しなかったそうです。
せっかくなので、そのアイデアを拝借して、
給田の活動の中で「にじのこかるた」を制作することにしました。
子どもたちを支援するという観点では、
最近はただ言葉を使うことより、
多様な手段を使って意思の疎通を図るということが大切にされており、
その一環で写真や絵カードを活用することもあるので、
かるたとも親和性があるな……と感じていたことも、活動の背景にありました。
「にじのこでやったこと」「にじのこで楽しかったこと」
「にじのこでやってみたいこと」をテーマとして、
自由にアイデアを出してもらい、かるたの形で表現してもらいました。
ただ、「自由に表現してください」と急に言われても困るかもしれないし、
直接アイデアを形にすることが難しいお子さんもいるので、
導入として、掲示してある「にじのこ新聞」を見てもらったり、
にじのこでやった活動や遊びの写真をその場で提示し、
好きな写真を選んでもらったりしました。
言葉でアイデアを伝えるのが得意な子、絵を描くのが得意な子、
写真なら好きなものをはっきり選べる子、文字を書くということに関心がある子など、
それぞれの持ち味を発揮しながら、お互いに協力して取り組んでいました。
初めての活動で当惑していた子もいましたが、
取り組み始めると気持ちが乗ってきたようで、
おやつを食べるのを後回しにしたり、おやつを食べてからも再び取り組み始めたりと、
それぞれが熱心に取り組んでいました。
「あしがかゆい」のように、
実際にやり始めると、その時点の興味や関心が札に大きく反映されていることが
おもしろいな……と思いました。
直前まで言い争いをしていたのに、
制作した札の中では、仲良く遊んだ思い出が描かれていて、
子どもたちの思いというのは、
目に見える部分だけで判断してはいけないな……と考えさせられました。
中には、現在の状況を反映した札もつくられていて、
子どもたちがいろいろと考えているんだな……と
思わずはっとさせられました。
ある程度札がそろってきたら、
埋まっていない五十音の札を、理事長にも制作してもらうことになっていますので、お楽しみに!
「にじのこかるた」の内容は、
季刊誌「にじのこめーる」100号の「みらいのにじのこ」の企画ともつながっています。
「ん」の札に関しては、その中に登場した言葉を採用しました。
以前このブログにも書きましたが、給田のケア会議で取り上げた、
世田谷区上町にある就労支援継続B型事業所ハーモニーの「幻聴妄想かるた」のように、
にじのこの活動を広げていくきっかけになったらいいな……と個人的には思っています。
「にじのこかるた」のパッケージデザインには、
こちらの作品が採用されるかもしれません。
年度末には形にすることを目指していますが、
実際にかるたで遊ぶとなると、夢中になって顔を突き合わせるなど、
どうしても距離が近くなってしまうと予想されるので、
どのような遊び方なら、楽しみと感染予防を両立できるか、
併せて考えていきたいと思います。