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「居場所」について考える:研修振り返り③ー現在も、未来も、「生きてる、ってことを感じる場所」としてー

(前回の振り返り記事は上の記事を見てください。)

ここまで「アトリエ・ポレポレ」と「芝の家・音あそび実験室」という
2つの場所の活動に触れてきましたが、共通するキーワードとして、
「個人を大切にする」「多様性を認める」「安心感」「視点をずらす」
「肯定・受容」「つながりを活かす」「ゆるやかさ」などがあげられそうです。

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この研修の準備の際に、過去の映像をいろいろと見返していたのですが、
アトリエ・ポレポレの展覧会のギャラリートークで、
あるメンバーの保護者の方から出た、
「生きてる、ってことを感じる場所」という言葉に触れたときに、衝撃を受けました。

学童グループのお子さんを想定したときに、
学校に通うようになれば、たくさんの課題をこなしていく必要があり、
年代が上になれば、実習に向けて時には厳しい指導があるなど、
楽しいことばかりではないかもしれません。

ただ、学校で疲れたときや嫌なことがあったときにでも、
なじみの場所に来れば、いつものように「おかえりなさい」と出迎えられます。

お子さんによっては過ごす時間がかなり短い時間になる場合もありますが、
特別なことをするのではなくても、
家庭や学校とは違った場で少しでも自分を肯定されること、
自分を受け止めてもらえること、
何となく一緒の場にいて、他者とのつながりを感じることで、
「生きてる、ってことを感じる」時間につながっていればな……と願います。

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放課後等デイサービスに関して言えば、制度上「療育」という面に重きが置かれていますが、
実際に現場にいると、「居場所」という側面もやはり大切なことではないかと思います。

そして、にじのこは、子どもたちや保護者のみなさんだけでなく、
職員も含めて、関わる人、これから関わろうとするすべての人にとって、
「生きてる、ってことを感じる場所」であるように、
今回の研修で学んだことを生かしていきたいと思います。

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今後も「居場所」について考える機会を設けたいと思います。
その一環として、先日は給田の職員で、
同じ世田谷区にある、就労継続支援事業所B型事業所ハーモニーで生まれた
「幻聴妄想かるた」で遊んでみることにしました。

「幻聴妄想かるた」に触れる中で、
精神障害のある方にとって「居場所」をつくることが
どれほど大切なことなのかということを多少なりとも考えるきっかけとなり、
精神障害の方について理解を深めるような研修に参加する職員も現れています。

今回の研修の中で、職員のみなさんからこんな感想がありました。
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・居場所づくりに関わっている方たちが、居場所づくりを通して何が大事かに気付いていかれる所が印象的だった。居場所に通って来る人たちをどのように受け入れ共感し、存在そのものをあるがままに肯定していく。そしてそれを自分の生き方や価値観に反映させて捉え直していく。居場所を通して、人と人が共鳴し合いながらどちらも肯定されるべき存在として関わり合っている。そういう人や場がたくさんつくられていくことを願いながら、自分もその中のひとりでありたいと思った。

・社会的障壁の多い中で、自分を表現できる場所があることは、生きていることを実感し、次第にそこが居場所になる。居場所は自分で見つけるというより、自然と生まれる場所、自分に歩み寄ってくる場所だと思う。周囲が認めてくれる環境、自由に自分らしくいられる空間こそが誰かの居場所になると感じた。

・何かあった時に相談できる所ももちろん必要だが、普段から地域の中に人同士でつながれる場所があって、それぞれ目を配っていくことで防げるものがたくさんありそうだ。自分も含めて、皆でそのような場所をつくるなり、探していきたい。
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コロナ禍の中で、いろいろなことに不寛容になっている面もありますが、
「居場所」について考えることは、にじのこのことだけでなく、
社会問題を未然に防ぐということに、少しでもつながっていくのかもしれないと思いました。

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配信動画という形で研修を実施することで、
時間や場所に影響されず、多くの人に見てもらえるというメリットもありますが、
意見交換の機会などは少なくなってしまうというデメリットもありました。

換気対策と撮影場所の制限から、インタビューにかなりノイズが乗ってしまったこと、
撮影したひとつひとつの場面に思い入れが出てしまい、
わかりやすくするために切り捨てるというのは大変難しく、
冗長さを感じられた方もいたようで、配信による研修の難しさを感じました。

改善が必要な点を今後に活かせたらと思いますが、
企画者個人としては、現場で支援をすることと記録をすること、表現をすることを
この研修を通してつなげることができ、
今後の方向性を考えるきっかけとなる貴重な機会でした。
ありがとうございました。

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先日、理事長から「給田で飾って欲しい」と紙の鳥が送られてきましたが、
この紙の鳥を見ていると、
今年度更新されたホームページの「理事長あいさつ」の一文を思い出しました。

 発足からのテーマである「居場所」について改めて考える機会を持ち、
 必要なこと、大切なことを活動の中で少しずつ形にしていけたらと考えております。

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理事長が言及したように、「『居場所』について考える」ということの発展形として、
今年の初夏に、季刊誌『にじのこめーる』が100号を迎えるということで、
「未来のにじのこについて考える」という企画を進めています。

子どもたちから出た最初のアイデアが
「学校や家の近くににじのこがあって欲しい」という、
利便性だったことに、思わずはっとさせられました。
これからどんなアイデアが出てくるのか楽しみです。

コロナ禍を経て、これまでと同じようにはいかないかもしれませんが、
未来のにじのこがどんな場所になっていっても、
ひとりひとりが「生きてる、ってことを感じる場所」でいられるように、
自分たちのやっていることを常に問い直しつつ、
できることをひとつひとつ積み重ねていけたらと思います。

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共に「未来のにじのこ」をつくる人材も募集しております。


by niji-noko | 2022-02-15 15:06 | にじのこ研修会