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「居場所」について考える:研修振り返り②ー芝の家・音あそび実験室の活動からー

(前回の研修振り返りは上の記事を見てください。)

次に取り上げた「芝の家・音あそび実験室」では、
コヒロコタロウ(小日山拓也+三宅博子+石橋鼓太郎)のみなさんにお話をお聞きしました。

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美術・即興音楽、音楽療法、アートマネジメントといった個々の背景はあるが、
「だじゃれ音楽研究会」のメンバーでもあるなど、
多様な人と音楽をつくることにそれぞれ関心を持っていたコヒロコタロウのみなさん。

三宅さんが芝の家の近くで仕事をしていて、たまたま受講した講座の一環で、
芝の家に関わる中で、小日山さんとお祭りに音あそびの屋台を出したことがきっかけとなり、
芝の家・音あそび実験室として定期的な活動につながっていったそうです。

最初は、試行錯誤の連続で、
興味を持ってもらおうと、意図的に子どもたちに合わせた内容にしたこともあったが、
活動の中で、「参加の仕方」そのものについて考えるようになったこと。

離れた所にいて気にしていないように見える人が、
ふと活動について話してくるなど、まずその場にいることが「参加」になるし、
時には重要な要素になっているということに気付いたそうです。

内容についても、即興音楽をベースにはするが、
楽譜を使うことも、既存の音楽を使うことも否定せず、間口を広げており、
ファシリテーションの中では、引っ張る人がいれば意図的に崩すなど、
それぞれが役割を分担しながら、場をつくっていけるようになってきたこと。

「ここでしかできない音楽がある」といって参加する常連の方も出てきたが、
音あそび実験室の存在が芝の家を訪れる人に徐々に認知されてくる中で、
接点の少なかった人からも話し掛けられるようになり、
吹奏楽のプログラムなど、新たな交流が生まれていきました。

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後半では、芝の家10周年の際に生まれたバースデイソング『いついつまでも芝の家』の
2番の歌詞づくりの制作過程を主に紹介しました。

いいものをつくるために限られた時間の中ではあるけど妥協せず、
皆で歌をつくろうという姿勢が歌詞づくりのプロセスから垣間見られ、
自分たちの「居場所」について考えていく姿勢が見られました。

音あそび実験室のみなさんも、実際にファシリテーションを行う中で、
芝の家という「場の力」を感じた出来事だったそうです。

当たり前のことかもしれませんが、その場所への思いがあるということが、
「居場所」をつくるということにつながっているのかもしれません。

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職員のみなさんからの感想を紹介します。
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・「芝の家・音あそび実験室」の活動では、評価というものを解き放つことの豊かさを感じました。提案はしても押し付けないというゆるやかさは難しいと思います。その模索に学ぶことが多くありました。

・参加を緩めるという点にも共感し、音楽に関わらず、福祉全体に共通する点だと考えたので、自分もよい意味で巻き込んでいきたいです。

・音あそび実験室では、素直に自分の考えや思ったことをしゃべっていい! その人が安心して発言できる雰囲気、場であることが大切、発想やものの見方を柔軟に考え、広げていく姿勢が大切、ということが印象に残りました。

・音楽というものの幅の広さを改めて感じました。地域に根差し、自然に生まれる音楽を心から楽しんでいる方々の表情が印象に残りました。

・芝の家の歌詞をつくる場面がおもしろかった。リアルな生活の場での意見がどんどん出て、最終的にみんなが納得できる歌に仕上がった。どんどん意見が言える場所があるということ、みなさんの感性、それを引き出せるファシリテーターの役目が素晴らしかった。

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・「音楽」の形や枠にとらわれることなく、そこにある音、いつもあるものが音になり、心が解放されていく。本来人は音、音楽が好きな生き物だと思うのですが、形や奏で方などに押しつぶされてしまい、遠のいてしまうことがあるなあと、改めて感じました。

・音楽活動の場に行かないとできない、ということに共感しました。私も音楽をやっていたので、上手・下手に関わらず、みんなで音を楽しむという所が原点だと思うので、興味がある・ないではなく、その場を楽しめることを、音楽療法として広まるといいなと感じました。

・ただ居場所を提供するだけでなく、利用者が何をしたいかを考え、利用者側に立ち考え、寄り添いながら前に進んでいることがとても印象に残った。

・自分の枠からはみ出して見えるような人と、自分の枠内のことを違う角度から見る、というお話が印象的で、何となく関わっている人の存在を認め、「個」を大切に活動されているからこそ、自然と自分が出せる場になっていると思いました。

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デイサービスの活動で考えると、離れたところに座って活動に参加していないようでも、
実はよく見ていて、身体を揺らしていたり、数か月後に急に踊り出すこともあったりするので、
その場だけで「参加していない」とみなさず、長い目で見ていく姿勢が大切ではないかと思いました。

感想に対する、芝の家・音あそび実験室の三宅さんからのコメントを掲載します。
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にじのこのみなさま

オンライン研修では、「芝の家・音あそび実験室」の活動をご覧くださり、ありがとうございました。たくさんの感想をいただき、とてもうれしく思っています。みなさまの言葉から、にじのこでの日々の生活や支援と照らし合わせて様々なことを感じてくださったことが伝わってきました。

私は、にじのこ赤堤に、音楽療法セッションで月1回おじゃましています。4月に新しいメンバーを迎えて少しソワソワザワザワした雰囲気だったのが、数か月たつと落ち着いて、にじのこの空気感ができてくるのを毎年感じています。通ってくるメンバーにとって、にじのこという場がだんだんと居場所になっていくのだと思います。そう考えてみると、居場所というのはたんに場所があることではなくて、そこに集う人々どうしの関わりから、お互いのあいだに生まれてくるものなのではないでしょうか。にじのこ職員の方の関わりを見ていると、一対一の関わりのなかにも、小さな「居場所」があるように思います。にじのこでの音楽療法セッションはいつも、そのような関わりや居場所の空気感に支えられていて、いつも私が学ばせていただいています。

音楽療法セッションでも音あそび実験室でも、いつも試行錯誤の連続です。みなさまの日々の支援も、きっとそうなのではないかと思います。その意味では、私たちはそれぞれの立場から「人と関わって何かをする」という、同じことに取り組んでいると思っています。これからも、にじのこという居場所作りに一緒に関わらせていただけたらうれしいです。ありがとうございました。(三宅)


コメントの中にあった、デイサービスにじのこ赤堤の音楽療法については、
以前三宅さんにインタビューした記事がにじのこブログに掲載されています。

なお、感想の中で、「障害のある方がいなかったのではないか」と書かれていた方がいましたが、
参加はしていても特別に存在を強調しようという意図が企画者になかったことや、
過去の素材は企画者の都合がつく日に撮影が限られていたこともあり、
偏った印象を与えてしまっていたら申し訳ありませんでした。

芝の家・音あそび実験室の活動に関しては、
ホームページやfacebookなども参照していただけるとうれしいです。

音あそび実験室が開催されている「芝の家」では、
昨年の11月に「芝の家13周年いろはにほへっと芝まつり」が開催されました。

コロナウイルスの感染状況が落ち着いていた時期ということもあってか、
整備されてきた「芝のはらっぱ」がにぎわっており、
にじのこバザーにも来ていただいた「千住ちんどん」のみなさんの演奏が
場を盛り上げていました。

そして、おまつりの最後に、
芝の家のバースデイソング『いついつまでも芝の家』が歌われていました。

コロナ禍を経ながらも、芝の家という場所に
変わりなく温かい時間が流れていることを実感した機会となりました。

当日の様子に関しては、
芝の家のブログの記事を見ていただけたらと思います。

今回の研修の内容は、にじのこの活動にもつながっていて、
先日、給田の活動の様子をこのブログでお伝えした際に、
「にじのこ9でん(給田)音頭」をつくったと書きましたが、
これは音あそび実験室とだじゃれ音楽研究会の活動が影響していました。

書くということに関心があって次々とアイデアを出していた子、
「難しい」と言いながらも、次第に歌いながら自分で歌詞をまとめあげ、
振り付けまで提案する姿が見られた子など、
思いも寄らない子どもたちの姿を引き出すことができました。

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その後も、子どもたちのにじのこへの思いが伝わってくる曲が生まれており、
にじのこの居場所づくりにつながっています。
今後何かしらの方法で公開できる機会がないか、可能性を探っているところです。

(研修振り返りの続きは、上の記事を見てください。)

by niji-noko | 2022-02-15 15:05 | にじのこ研修会